会長あいさつ

会長あいさつ

大阪医科薬科大学病院 医療総合管理部 QI管理室/診療情報管理室
副部長・室長・教授

上田 英一郎


この度、2022年4月より近畿病歴管理セミナー会長を拝命いたしました上田英一郎です。2020年より会長代行として南前会長の元、本セミナー(近ゼミ)の運営に携わってまいりました。この経験を活かし、今後益々、近ゼミが発展するよう尽力させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

診療情報管理は、まさに縁の下の力持ちというべく、病院機能の最も大切な情報の管理を担っており、この機能が十分に発揮されなければ、安全で質の高い医療の提供は不可能となり、適切な診療報酬請求もできません。また、昨今、医療業界にもDigital Transformation(DX)の波が押し寄せてきていますが、診療情報管理は、まさにDXを積極的に取り入れ、成功させなければならない分野だと感じています。DXとは、最新のITツールやデジタル技術を活用して業務効率化や生産性向上を実現し、人々の生活を豊かにする取り組みを指すとされていますが、厚生労働省は、2017年よりDXを盛り込んだデータヘルス改革を推進しています。これは、健康・医療・介護分野のデータの有機的連結やICTなど技術革新の利活用の推進を目指すもので、国民の健康寿命のさらなる延伸と効果的・効率的な医療・介護サービスの提供を目指しています。この計画を見ますと、我が国では、個々の医療機関が管理してる患者情報を、PHR(Personal Health Record)として集約し、国民が生涯にわたり自身の保健医療情報を把握できるようにするとともに、医療機関や介護事業所においても、患者・利用者ニーズを踏まえた最適な医療・介護サービスを提供することを可能にするデータシステムの構築となっています。これらのデータが匿名化され、データベースに蓄積、活用されると、我が国の医療の発展に大きく貢献することは想像に難くありません。

このようにbig dataをうまく活用することは、国民一人ひとりにとっても、医療機関にとっても非常に重要です。ここで、当院での診療情報の利活用について振り返ってみますと、クリニカルパスのバリアンス分析を例に取ってみても、まだまだ十分に活用できていないと感じており、医療安全や医療の質改善にもっと寄与できるパスシステムがあるのではないかと考えています。近ゼミは、診療情報管理、big data管理のエキスパートの集団です。これからの時代に向けて、近ゼミが、このような問題のdiscussionや情報交換の場になったり、今後ますます魅力ある講演会や勉強会を企画することによって有益な情報が発信できる会に発展できるようにしたいと考えています。会員の皆さま、これからもご協力をよろしくお願いいたします。