会長あいさつ

会長あいさつ

国立病院機構 大阪医療センター院長 /近畿グループ担当理事 松村泰志上田英一郎先生に引き継ぎ2025年7月より近畿病歴管理セミナーの会長に就任いたしました。よろしくお願いいたします。 

私は、前職の大阪大学で医療情報を担当していましたので、病歴管理には深くかかわってきました。1992年、阪大病院で病名オーダを導入した際にICD10による病名マスターを作成することになりました。まだICD10の翻訳が出ていなかった頃で、医師100名以上が参加してこのICD10を翻訳した上で病名マスターを作成しました。2003年にはDPCが本格導入されました。阪大病院は最初に導入する病院に指定され、DPC登録システムの作成から運用フローの構築、医師教育等に携わりました。2000年から電子カルテを開発し、2010年に完全ペーパレス電子カルテに移行させました。それまで紙で管理していた診療記録の全てをデジタル管理に置き換えました。こうした節目となる大きな事業を、診療情報管理士らとともに取り組んできました。

今日では診療記録のデジタル化は当たり前です。しかし、デジタル管理には様々なレベルがあります。ワープロ入力方式であれば構築は容易ですが品質管理、検索・集計等には使えません。高度にデータ利用をするためには、データが細かい粒度で構造化される必要があり、選択肢からの選択方式で記録を作成しなければなりません。そのためにはコンテンツ(マスター)が必要です。全国集計を可能とするためには全国共通のコンテンツを作成する必要があります。その開発には、プログラム開発以上の時間と労力がかかります。診療情報管理に関わる人達の力が必要です。

現在我が国では電子カルテ情報共有サービスが始まろうとしています。このサービスはEHR/PHRの入り口であり、診療記録を全国で共有するための基盤となります。有効に機能させるためにはコンテンツの整備は欠かせません。また、ICD11への移行の議論も始まりました。こうした新たな課題に会員の皆さんとともに取り組んでいくことを大変楽しみにしております。